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エンパグリフロジンは慢性腎臓病患者における腎疾患進行や心血管死のリスクを抑制 

2022年11月4日

EMPA-KIDNEY試験の参加者の皆様へのニュースレターは、こちらをクリックして下さい。

EMPA-KIDNEY試験は、慢性腎臓病の患者さんがエンパグリフロジンを毎日1錠服用することで、腎臓病の進行や心疾患による死亡を防げるかを調べました。有効性が示されたため、試験は当初予定より早く終了しました。

2022年11月に試験結果は報告され、糖尿病治療薬として開発されたエンパグリフロジンが、慢性腎臓病患者の腎疾患進行または心血管疾患による死亡のリスクを28%抑制させることが明らかにされました。この結果は、本日開催された米国腎臓学会主催の「腎臓週間」で発表され、New England Journal of Medicine誌にも掲載されました。

慢性腎臓病は進行性の疾患で、透析療法や腎移植が必要になることがあり、心血管疾患のリスクも高まります。世界で人口の約10%が罹患していると推定され、全世界の死因の上位にある疾患です。

エンパグリフロジンをはじめとしたナトリウム依存性グルコース共輸送担体2(SGLT-2)阻害薬は、特定のタイプの慢性腎臓病患者に有効であることが示されていますが、先行の臨床試験で十分に調べられていなかった、糖尿病を有さない患者や腎疾患進行のリスクの高い患者にもこの治療が有効かどうかは不明でした。

EMPA-KIDNEY試験は、8カ国で6609名が試験に参加し、参加者の半分にはエンパフロジン1日10mgを投与し、もう半分には偽薬(プラセボ)を投与しました。参加者の平均年齢は63.8歳で、そのうち33%が女性でした。また、参加者の半数以上(54%)は糖尿病を有していませんでした。本試験は、オックスフォード大学のオックスフォード・ポピュレーション・ヘルス(Oxford Population Health)の一部門である、医療研究協議会 ポピュレーションヘルス研究ユニット(Medical Research Council Population Health Research Unit; MRC PHRU)が企画、実施、解析を行いました。

 

主な試験結果

  • エンパグリフロジンは、主要アウトカムである腎疾患進行または心血管死を28% 抑制させました(ハザード比 [HR] 0.72、95%信頼区間 [CI] 0.64-0.82、 p<0.0001)。
    • 腎疾患進行または心血管疾患による死亡は、2年のフォローアップ期間中(中央値)、エンパグリフロジン群で432例 (13.1%)、プラセボ群で550例 (16.9%)が認められました。
  • エンパグリフロジンの主要アウトカムに対する効果は、糖尿病の有無、年齢、性別、人種、腎機能のレベルにかかわらず、本試験参加者の異なるグループ間で概ね一貫していました。
  • エンパグリフロジンの新しい副作用は認められず、本治療のベネフィットがリスクを上回りました。
  • エンパグリフロジン群では、あらゆる原因による入院が14%減少しました(ハザード比 [HR] 0.86、95%信頼区間 [CI] 0.78-0.95、p=0.003)。
  • 心不全による入院や心血管死、あらゆる原因による死亡については、統計的に有意な効果は認められませんでした。これらのアウトカムは数が限られていたため、差を示す統計的検出力が低かったのです。統計的に有意ではないものの、本試験で得られた結果は、これらアウトカムのリスク抑制が統計的に有意である事が示された他試験と一致しています。

EMPA-KIDNEY試験の共同治験統括医師で、オックスフォード大学MRC PHRUのWill Herrington准教授は、次のように述べています。「慢性腎臓病の患者さんは糖尿病を有していない方が多くいらっしゃいます。エンパグリフロジンが、この患者さんやこれまでの試験で十分に調べられてこなかった他のタイプの患者さんに有効かどうかを調べることは重要なことでした。世界中で試験に参加された皆様や共同研究者の方々のおかげで、エンパグリフロジンが糖尿病の有無にかかわらず、腎疾患進行や心血管疾患による死亡のリスクを大幅に減少させることが分かったのです。

生活の質を維持し、心血管疾患のリスク増加を妨げるため、慢性腎臓病の進行を遅らせ、透析療法や腎移植の必要性を回避することは非常に望ましいことです。」

EMPA-KIDNEY試験の共同治験統括医師で、オックスフォード大学MRC PHRUのRichard Haynes 教授(腎臓医学、臨床試験学)は、次のように述べています。「EMPA-KIDNEY試験の結果は、これまでの試験で確認されたことを裏付けるだけでなく、そのベネフィットがより多くの患者さんに及ぶことを示しました。EMPA-KIDNEY試験の良好な結果が、世界中の慢性腎臓病を有する広範な患者さんの治療改善に活用されることを期待しています。」

EMPA-KIDNEY 試験は、ベーリンガーインゲルハイムがスポンサーとなり、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーから資金提供を受けております。